【名古屋の質屋ブログ】質屋が悩む“売るか、持つか”。金相場は後出しジャンケン

 金相場が乱高下していますね。
業者にとって一番ありがたいのは、やはり「緩やかな上昇相場」。
しかし実際に一番対応が難しいのは、このような乱高下の局面です。
相場が激しく動くと、
「今が売り時なのか」
「いや、まだ上がるのではないか」
と迷いが生じ、結果として売買マインドそのものが冷えてしまいます。
売り時と買い時を見極めるのは、本当に難しいものです。
そんな金相場について、少し“夢のある話”を聞きました。

 先日、家族経営の同業者と世間話をしていた際、話題は金のインゴットになりました。
そのお店では、約2年前に金のインゴットを4キロ分買取したそうです。
正直なところ、
「そんなにインゴットを買い取るのか!」
と内心では驚きましたが、そこはぐっとこらえて
「あっ、そうなんですね」
と冷静を装いました。
その後、そのインゴットをどうするかを、
社長と専務で話し合ったそうです。
社長の意見は、
「会社はまだまだ続くし、後継者のためにも資産として残しておこう。売らずに持っておいた方がいい」
というもの。
一方、専務は、
「今後、相場が下落したら売り時を逃してしまう。今のうちに売却した方がいい」
と主張し、意見は真っ二つに分かれました。
結論が出ないまま、数日が経過。
そしてその間に
専務は、そのインゴットを売却してしまったそうです。

まあ、どちらの意見も間違いではありません。
相場の先など、誰にも分かりませんから、
その時点での「正解」は存在しないのです。
ただし、結果論ではありますが、
令和8年2月現在の相場で振り返ると、
「もし売らずに持っていたら…」
という話になってしまいます。

買取時期は正確には分かりませんが、
仮にちょうど2年前、令和6年2月の相場で見てみると、
K24金の買取価格は約1万円/g。
それが、令和8年2月現在では約26,000円/g。
実に2.6倍です。
4キログラムを令和6年に買取した金額は、約4,000万円。
それを令和8年2月に売却していれば、約1億400万円。
差額は、6,400万円にもなります。
まさに、夢のような話ですね。
もっとも、うちのような小さな質店では、
そもそも4キロものインゴットを買い取る機会がありません。
ですから、こんな夢物語を想像することすらできません。
同じ商売をしていても、
規模が違えば、見える景色もまったく違う。
そんな現実を、改めて実感させられた話でした。
ちなみに令和8年になってから、社長は専務にこう言ったそうです。
「なっ、売らずに取っておいたら良かっただろ。大きな退職金になったぞ。」
専務がなんと返したのかは聞いていませんが、
その胸中は、容易に想像がつきますよね。