
活況を取り戻している街の「質屋さん」が増えている。
そんな、質屋業界としては少し珍しい明るいニュースが、
ヤフーニュースに掲載されていました。

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、
3期連続で増収増益を維持している質店が存在し、
金や銀などの貴金属価格の高騰に加え、
物価上昇による生活資金の一時的な不足など、
さまざまな顧客ニーズが業績を押し上げているのではないか、
という内容です。
今回の分析では、TSRのデータベース(約440万社)の中から、
5期連続で売上高と最終利益を比較できる質店42社を抽出して検証したとされています。
ただ一方で、業界全体を見渡すと、質店の数そのものは年々減少しています。
警察庁の許可状況によれば、
2003年に4,119店あった質屋は、
2024年には2,428店と、約4割も減少しています。
つまり、「一部は好調だが、全体としては縮小している」というのが、質屋業界の現実です。
質屋のニュースとしては、久しぶりに景気の良い話題だと感じる方も多いでしょう。
ただ、この「42社」という数字を見て、少し引っかかる点もあります。
5期連続で売上と利益を比較できるということは、
経営が安定しており、ある程度の規模を持つ中堅?大手クラスの質屋が中心ではないでしょうか。
少なくとも、個人経営や家族経営に近い小規模質店が多く含まれているとは考えにくい印象です。
実際、うちのような小規模な質店では、
「業績が上がっている」と胸を張って言える状況ではありません。
(もしかすると、うちだけかもしれませんが・・・)
質屋同士で話をしていても、
業績を伸ばしているお店の多くは、
いわゆる「質預かり」を軸にしているというより、
・ブランド品や宝飾品の販売に力を入れている
・リユース、買取、EC販売など他事業を組み合わせている
といった形で、本業以外の分野で伸ばしているケースが目立ちます。
「質預かり」単体で見れば、
預かり件数自体は減っている、という話をよく耳にします。
ただその一方で、金・プラチナ相場の高騰を背景に、
1件あたりの預かり金額は増えているお店が多い、というのも実感としてあります。
記事では、3年連続の増収増益の理由として、
「金や銀などの貴金属価格が上昇し、ブランド品の取り扱いが増えたこと」
「物価高騰により、家計の急場しのぎとして利用するお客が増えた可能性」
を挙げています。
もちろん、これらの要因も間違ってはいないと思います。
ただ、実際に現場に立っている者の肌感覚としては、
それだけでは説明しきれない、
数字には表れにくい部分こそが、
今の質屋業界の明暗を分けているように感じます。
売上や利益といった指標だけでは見えない、
お客さまとの距離感や、店としての姿勢、
そして「この店なら相談できる」と思ってもらえる信頼の積み重ね。
そうした要素が、静かに、しかし確実に差を生んでいるのではないでしょうか。
小規模質店がどう生き残っていくのか?
これは今に始まった話ではなく、
いつの時代でも突きつけられてきた課題です。
規模や資本力で大手と同じことをしても、勝ち目はありません。
だからこそ、
流行を追いかけすぎず、無理に背伸びもせず、
目の前のお客さま一人ひとりと丁寧に向き合うこと。
派手さはなくても、
「必要な時に、きちんと頼れる店」であり続ける。
大手にはなかなか真似のできない、
その積み重ねこそが、
小さな質店にとっての生きる道なのかもしれません。





